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Tài liệu コンビニエンスストアの経営における営利性と社会性の関係 -高齢者向けサービスに着目して-

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ベトナム国家大学ハノイ校日越大学 地域研究プログラム日本研究専攻 修士学位論文 コンビニエンスストアの経営における営利性と社会性の関係 -高齢者向けサービスに着目して- 地域研究プログラムコード:8310604.01QTD 指導教員 VO MINH VU 博士 学位申請者 BUI THI HUYEN DIEU (学生番号:18110012) ハノイ、2020 年 論文要旨 高齢化の進行に対応するために、日本では多くのコンビニエンスストアが高齢者向けサー ビスを開発している。企業の社会的責任が重視される今日では、コンビニエンスストアは営 利拡大のみに目を向けているわけではなく、移動販売や宅配といった高齢者向け買い物支援 サービスの展開を通じて買い物弱者をはじめとする社会問題の解決に貢献しようとしている。 本研究では、コンビニエンスストアの高齢者向けサービスに注目し、それについて考察する ことを通じて、コンビニエンスストアが営利性と社会性の関係についてどのように考えてい るのかを検討する。それとともに、コンビニエンスストアが、社会貢献を経営に取り入れる 上で、コンビニエンスストア自身をどのように認識しているのかを明らかにしたい。 現在までに、コンビニエンスストアに関しては、多くの研究が行われている。経済学の観 点に基づく従来の研究では、コンビニエンスストアの進化史、経済的な成功、ビジネスモデ ルなどに焦点を当てている。他方で、経済社会学の視点に基づく従来の研究では、コンビニ エンスストアと社会との関わりを中心に考察が行われている。しかし、いずれの研究でも、 コンビニエンスストアの営利性あるいは社会性のどちらか一方を強調しており、両者の関係 に対するコンビニエンスストアの認識についてはまだ明確にされていない。 そこで本研究の目的は、高齢化が進むなか、コンビニエンスストアが、営利性と社会性の 関係をどのように考えているのかを明らかにすることにある。この目的を達成するために、 筆者はコンビニエンスストア企業及び高齢者に対するインタビュー調査を行った。また、イ ンタビュー調査から得られた情報を分析するとともに、一次・二次資料と関連文献の調査も 行った。 本論文の結果として、コンビニエンスストアの高齢者向けサービスは社会性のもとで展開 されていることが明らかにされた。また、その背景にあるのは、社会問題の解決を通じて経 済的価値と社会的価値を創造するという考え方である。このことから、高齢者向けサービス だけではなく、ほかの商品・サービスも含めたコンビニエンスストアの経営全体についても、 社会性という新たな切り口から捉えることができると考えられる。そして、企業が提供する サービスを社会性という切り口で捉える視点は、高齢化という社会問題の進展のなかで、コ ンビニエンスストアをはじめとする民間企業による高齢化問題の解決の可能性を模索する手 がかりにもなると言えよう。 i 目次 序論 ................................................................................ 1 1 研究背景と研究目的 ............................................................. 1 1.1 研究背景 .................................................................. 1 1.2 研究目的 ................................................................... 2 2 先行研究 ...................................................................... 2 2.1 営利性と社会性に関する研究 ................................................. 3 2.2 コンビニエンスストアと社会との関係に関する研究 ............................. 6 3 研究方法 ...................................................................... 7 3.1 インタビュー調査 ........................................................... 7 3.2 一次・二次資料と関連文献調査 ............................................... 9 4 論文の構成 .................................................................... 9 第一章 日本のコンビニエンスストア業界の概観 ....................................... 10 1.1 コンビニエンスストアの概観 .................................................. 10 1.1.1 コンビニエンスストア尐史 ................................................ 10 1.1.2 コンビニエンスストアの取扱商品・サービス ............................... 15 1.1.3 コンビニエンスストアの社会貢献 .......................................... 16 1.2 日本社会の高齢化とコンビニエンスストアの顧客の変化 .......................... 19 1.2.1 日本社会の高齢化 ........................................................ 19 1.2.2 コンビニエンスストアの顧客の変化 ........................................ 22 第二章 コンビニエンスストアの営利性と社会性の関係についての認識-セブン‐イレブン を事例に ........................................................................... 30 2.1 日本社会の高齢化とコンビニエンスストアとの関係についての認識 ................ 30 2.1.1 セブン‐イレブンについて ............................................... 30 2.1.2 営利性の側面での認識 ................................................... 32 2.1.3 社会性の側面での認識 ................................................... 33 2.2 営利性と社会性の両立についての認識 .......................................... 35 2.2.1 コンビニエンスストアにおける CSV の考え方の定着 ......................... 35 2.2.2 CSV 事業の創出 .......................................................... 38 第三章 高齢者向けサービスの実施状況 ............................................... 40 3.1 買い物支援サービスの展開の経緯 .............................................. 41 3.1.1 移動販売 ................................................................ 41 3.1.2 宅配 .................................................................... 43 3.2 移動販売と宅配事業の事業システム ............................................ 47 3.2.1 移動販売の事業システム ................................................. 47 ii 3.2.2 宅配の事業システム ..................................................... 48 3.3 高齢者向けサービスに対する一検討 ............................................ 50 3.3.1 営利性と社会性の両立 .................................................... 50 3.3.2 高齢者向け買い物支援サービスの課題 ...................................... 53 結論 ............................................................................... 56 参考文献 ........................................................................... 53 付録 ............................................................................... 63 iii 表一覧 表 0-1:CSR と CSV の比較 ............................................................ 5 表 1-1:コンビニエンスストア大手三社の店舗で利用可能なサービス..................... 16 表 1-2:コンビニエンスストアの社会貢献の取組目標 .................................. 17 表 1-3:コンビニエンスストアセーフティステーション活動............................. 18 表 1-4:食料品アクセス困難人口(2015 年) .......................................... 26 表 1-5:買い物弱者の問題への取組 .................................................. 27 表 3-1:「セブンあんしんお届け便」の展開状況(2019 年 11 月 22 日現在) ............ 41 表 3-2:「ローソンフレッシュ」の「カート購入」場合の配送料(税込価格) ............. 45 表 3-3:「セブンミール」の売上推移 ................................................ 49 表 3-4:インタビュー調査協力者の基本属性の情報 .................................... 52 図一覧 図 1-1:百貨店・スーパーマーケット・コンビニエンスストアの年間売上高推移(千億円) . 13 図 1-2:コンビニエンスストアの売上高・店舗数推移(千億円、店舗)................... 14 図 1-3:コンビニエンスストア全体に占める大手三社の全店売上高推移(十億円)及び合計 シェア(%) ................................................................... 15 図 1-4:日本の高齢化の推移(万人) .................................................. 20 iv 図 1-5:日本の高齢化率の推移(%) ................................................ 21 図 1-6:セブン‐イレブンの来店客の高齢分布の変化(%)............................. 23 図 1-7:人口の年齢分布の変化(%) ................................................ 24 図 1-8:世帯为の年齢階級別消費支出(二人以上の世帯)(円)......................... 25 図 2-1:コンビニエンスストア全体に占める大手三社の合計シェア 2018 年度(%) ........ 31 図 2-2:セブン‐イレブンの売上高・店舗数推移(千億円、店舗)....................... 31 図 2-3:セブン&アイ HD の CSR 統括委員会の組織図 ................................... 36 図 2-4:セブン‐イレブンの企業行動委員会の組織図 .................................. 36 図 2-5:買い物支援サービスにおける経済的価値と社会的価値の追求..................... 37 図 3-1:「セブンミール」の利用会員の年齢分布(2017 年 5 月現在) .................... 50 v 序論 1 研究背景と研究目的 1.1 研究背景 コンビニエンスストアはもともとアメリカにおいてスーパーマーケットを補完するために 発展した業態である。アメリカを手本にしてスタートした日本のコンビニエンスストアは、 現在では広く普及し、人々に親しまれ、今や日本人の日常生活になくてはならない便利な存 在になっている。また、コンビニエンスストアは社会の変化に敏感に反応して、迅速な対応 を取ることが可能である。とりわけ、日本の高齢化の進行を背景にして、コンビニエンスス トア各社は積極的に対応し、高齢者向けサービスの充実に力を入れている。 高齢化といった社会の変化は、コンビニエンスストア業界のみならず様々な業界の企業活 動に影響を与える。最も考えやすいのは顧客層の高齢化という影響だが、その他に、「企業 と社会」というテーマの下で議論した研究では、企業がそれまで採用してきた経営戦略にも 変化を引き起こすことが指摘されている(丹下 2014:ii; 大滝 2019: 21)。具体的には、社 会的問題の解決に注目する社会性が企業の経営の視野に入れられるべきという为張である。 また、今日の企業人の社会貢献意識が高まっているということも確認される(安齋 2016: 145)。このことも考えれば、丹下(2014)が述べるように、今後の企業経営における社会性 を捉えることがますます重要になってきていることには疑いの余地がないだろう(丹下 2014: iii)。 こうした社会的及び学術的な背景から、本研究では、コンビニエンスストアが社会貢献を 経営に取り入れる上で、コンビニエンスストア自身についてどのように認識しているのかと いう問いを立てた。とりわけ、コンビニエンスストアが、高齢者向けサービスを提供する上 で、コンビニエンスストア自身をどのように認識し、そしてその認識はコンビニエンススト アの経営にとってどのような意味を持つのかという問いを考えたい。 コンビニエンスストアに関しては、多くの研究が行われている。経済学の視点に基づく従 来の研究では、コンビニエンスストアの進化史、経済的な成功、ビジネスモデルなどに焦点 を当てている。他方で、経済社会学の視点に基づく従来の研究では、コンビニエンスストア と社会との関わりを中心に考察を行っている。こうした研究から、コンビニエンスストアは 社会に深く関わり、社会の変化とともに品揃え・サービスは絶えず移り変えていくことが確 認できる。また、コンビニエンスストアの社会の中での位置付けに関しては、コンビニエン スストアが商店としての役割を超え、様々な社会的な役割を担いつつあるとも言える。しか しながら、いずれの研究でも、コンビニエンスストアのサービスの展開の背後にある、コン ビニエンスストアがコンビニエンスストア自身についてどのように認識するのかについては 1 まだ明確にされていない。 本論文では、こうした従来の研究でいまだに十分に考察されていない点を解明するために、 コンビニエンスストアの営利性と社会性についての認識を検討する。本論文の学術的な意義 は、コンビニエンスストアのコンビニエンスストア自身についての認識を明らかにすること が、高齢者向けサービスだけではなく、ほかの商品・サービスも含めたコンビニエンススト アの経営全体についての理解に対する一助になるということにある。また、本論文の社会的 な意義は、高齢化という社会問題の進展のなかで、コンビニエンスストアという民間企業を 手法とした高齢化問題の解決を模索する手がかりになることにある。 1.2 研究目的 本研究の目的は、高齢化が進むなか、コンビニエンスストアが、営利性と社会性の関係を どのように考えているのかを明らかにすることである。とりわけ、①日本社会の高齢化とコ ンビニエンスストアとの関係への認識を究明するとともに、②高齢者向けサービスにおける 営利性と社会性の関係への認識も考察する。①に関しては、営利性の側面と社会性の側面に 分け、コンビニエンスストアの対応と認識を検討する。すなわち、高齢者層の増加という 「顧客層の変化」に対するコンビニエンスストアの対応と、高齢化という「社会問題」に対 するコンビニエンスストアの役割への認識を検討する。②に関しては、移動販売と宅配とい った高齢者向け買い物支援サービスを取り上げ、それらのサービスを展開する上で、コンビ ニエンスストアの営利性と社会性の関係をどのように考えるのかを考察する。 先ほど取り上げた「高齢化が進むなか、コンビニエンスストアは営利性と社会性の関係を どのように考えるのか」というリサーチクエスチョンに対する筆者の仮説は、「コンビニエ ンスストアが高齢化という社会問題を機会として捉え、その問題の解決を戦略的に経営に取 り入れ、社会貢献できるサービスを通じて営利性と社会性の両立を目指す」というものであ る。こうした仮説を設定する根拠は、研究背景で述べたように、今後の企業経営における社 会性を捉えることが重要になることにある。それに加えて、次章で詳述するが、コンビニエ ンスストア企業が様々な社会貢献活動に取り組んでいることも、この仮説のひとつの根拠と なる。 個々の店舗の経営方針を把握するのは困難であるため、本研究では本部の認識を分析対象 とする。 2 先行研究 本研究に関連する研究には、営利性と社会性に関する研究及びコンビニエンスストアと社 会との関係に関する研究がある。前者に関しては、まずは企業の社会的責任に関する研究に ついて述べたうえで、営利性と社会性の両立に関する研究を取り上げながら、本研究で採用 2 していく社会性の解釈について説明する。その前に、ここでは、社会という言葉の概念を検 討することにする。伊藤陽一によれば、社会は「人間が集まって共同生活を営む、その集団。 諸集団の総和からなる包括的複合体」と定義され、そこには「自然的に発生したものと、利 害・目的などに基づいて人為的に作られたものとがある」とされている 1。また、現代社会学 辞書では、社会は、「諸個人の個々の関係行為(コミュニケーション)の接続が固有の秩序 を形成し、個々の要素的行為にまで分解したときには見失われてしまうような集合的な諸現 象を生成することで、これら関係行為の集合が外部から境界区分されるような統一性を呈し ているとき、その集合を「社会」と呼ぶ」と定義されている2。これらの定義から読み取れる のは、社会という集合あるいは団体では、そのなかで存在している個々の関係性が発生して いるのである。本研究の範囲では、コンビニエンスストアとその立地地域、それにコンビニ エンスストアと高齢の顧客の関係について考察するということを考えた上で、社会を次のよ うに定義していく。それは、ある場所に複数の人々が集まり、相互に結び付き、影響を与え 合い、いろいろなやり取りをするようになったとき、そこには社会があるということである。 2.1 営利性と社会性に関する研究 (1) 企業の社会的責任に関する研究 企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)という用語については、多 様な人々がさまざまな意味合いを込めながら解釈している。 丹下(2014)は次のように指摘する。 企業の社会的責任は経済为体としての本来的機能を全うする「経済的責任」と「企業市 民としての責任」に大きく分けられ、後者の責任はさらに細かく①法的規制を遵守する 「遵法的責任」、②社会に悪影響を与えない「倫理的責任(また道義的責任)」および③ 社会責任によって社会を良くするための「貢献的責任」の3つに分類される(丹下 2014: 10)。 丹下によれば、企業の社会的責任と社会貢献は区別されるべきである。これに関して、丹 下は次のように指摘する。 1 伊藤陽一「社会の定義について」『日本世間学会』2018 年 8 月 11 日 http://www.sekengaku.org/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=33 2020 年 6 月 25 日閲覧 2 大澤真幸編(他)(2012)『現代社会学辞書』弘文堂:559 3 「企業市民」としての義務を基盤とする「企業の社会的責任」は規範的な側面が強く現 れるのに対し、「啓発された自己利益」を基盤とする「企業の社会貢献」は戦略的な側面 が強く現れることから、社会的責任と社会貢献は概念的に明確に区別できると考えられる (丹下 2014:10、11) 谷本(2006)は CSR を「企業活動のプロセスに社会的公平性や倫理性、環境や人権への配 慮を組み込み、ステイク・ホルダーに対してアカウンタビリティを果たしていくこと」と定 義している(谷本 2006:59)。谷本によれば、ステイク・ホルダーには、株为、消費者/顧客、 取引先、NPO/NGO、地域社会、政府・行政、従業員が含まれる。 (2) 営利性と社会性の両立に関する研究 企業経営における社会性という概念に関して、牧野(2013)は、「社会性を 「世の中の役 に立つ」 といった意味合いを示す」 と述べる(牧野 2013:77)。また、大滝(他)(2019) の解釈によれば、社会性は「今日の多様な社会的問題の解決に貢献すること」(大滝(他) 2019:12)に等しいと言っても過言ではない。これらの議論では、社会性は今日の企業の経 営戦略に求められる要件であるべきだとも述べられる。大滝(他)(2019)は「戦略的社会 性」という概念を提唱し、それは「企業が既存の市場に関係するステークホルダーのみなら ず、環境・社会面に関わる多様なステークホルダーの社会的ニーズを感知し、短期的には経 済的価値へと結びづけていくことが不可能であったとしても、それを新事業創造などのイノ ベーションを通じて新しい価値創造、市場創造へとつなげ、収益性と社会性を両立させるこ とができること」だとする(大滝(他)2019:317)。 丹下(2016)は企業経営体としての戦略的な意味合いが強い「企業経営の社会性」という 概念を提唱する。企業経営の社会性として、新しい企業理念(営利性と社会性の両立)、社 会的なビジョン、先進的な環境管理システム、エルダーケアの実施、高齢者の積極活用とい う5つのポイントを明示する( 丹下 2016:12、17) 。 大滝(他)(2019)と丹下(2016)では、営利性(収益性)と社会性の両立という考え方 が現れる。これについて考えるに当たっては、 CSV 論を検討しなくてはならない。 CSV (Creating Shared Value:共通価値の創造)はマイケル・ポーターら(2006)(2011)で提 唱された経営モデルである。CSV という概念は、経済価値を創造しながら、社会的ニーズに対 応することで社会的価値も創造するというアプローチであり、成長の次なる推進力となる (マイケル・ポーターら 2011:19)。また、マイケル・ポーターら(2011)は、CSV の3つ のアプローチについて、以下のように述べている。 ① 製品と市場を見直す このアプローチは、社会価値と企業価値の双方を創出するために、社会的ニーズに対応す 4 る新しい商品やサービスを生み出そうとするものである。また、このアプローチでは、社会 的ニーズを常に探し求めることで、既存市場における差別化、新市場の開拓が可能である。 ② バリューチェーンの再生産を再定義する このアプローチは、企業のバリューチェーンが社会に影響を与えていることから、この部 分を見直すことによって、社会的な課題を解決すると同時に、コスト削減などの企業価値の 創造を実現しようとするものである。具体的な見直し項目として、「エネルギーの利用とロ ジスティックス」、「資源の有効活用」、「調達」、「流通」、「従業員の生産性」、「ロ ケーション」等が挙げられる。 ③ 地域社会にクラスターを形成する マイケル・ポーターらによれば、クラスターとは、特定分野の企業や関連企業、サプライ ヤー、サービス・プロバイダー、ロジスティクス等が地理的に集積した地域を指している。 このアプローチは、企業が成功するためには支援企業やインフラも重要な要素であり、生産 性やイノベーションに影響を与えることから、強いクラスターを持つことによって共通価値 を創造しようとするものである。 CSV は CSR との対比で表現されることが多い。マイケル・ポーターらも両者を対比している (表0-1)。 表 0-1:CSR と CSV の比較 CSR CSV 価値 価値は「善行」 価値はコストと比較した経済的便益と 社会的便益 本質 シチゼンシッピ、フィランソロピー、 持続可能性 企業と地域社会が共同で価値を創出 動機 任意、あるいは外圧によって 競争に不可欠 利益の拡大との繋がり 利益の拡大化とは別物 利益の拡大化に不可欠 テーマ テーマは、外部の報告書や個人の嗜好 によって決まる テーマは企業ごとに異なり、内発的で ある 企業の予算との関係 企業の業績や CSR 予算の制限を受ける 企業の予算全体を再編成する 5 例 フェア・トレードで購入する 調達方法を変えることで品質と収穫量 を向上させる 出典:マイケル・ポーターら(2011:29)より(一部は筆者修正) 日本では、マイケル・ポーターらの提唱した CSV 論について考察した研究が多い。赤池・ 水上(2013)は次のように述べる。 多くの企業が CSV を実践すれば、「社会・環境問題の解決は、利益を生み出す機会であ る。企業価値と社会価値は両立する」という新しいパラダイムが定着していきます。企業が 本来持つ力を発揮し、新しいパラダイムのもとに経営を行うことにより、持続可能な社会を 築き、次の世代に豊かな社会をもたらすことができます(赤池・水上 2013:10、12) そして藤井(2014)は次のように述べる。 世界的に進む気候変動や資源枯渇をはじめ、先進国で進む高齢化・労働力減尐、新興国 で進む人口の都市集中によるインフル不足や環境破壊、途上国で一向に減らない貧困問題や 衛生問題など、世界的に深刻な社会問題が、企業にとって次の巨大なイノベーション・新事 業創造の種となりうることには、すでに疑いの余地がない。CSV 先進企業は、これらの深刻 な社会問題の中から特定地域で潜在市場を見極め、一見達成不可能と思われる水準で社会課 題解決目標を設定している(藤井 2014:4) 以上の研究で明らかにされたように、社会性は、社会的存在としての観点から社会的責任 の遂行の意識あるいは社会貢献の意識に根差している。本論文では、社会性とは「世の中の 役に立つ」、「今日の多様な社会的問題の解決に貢献する」等の意味合いを包含する社会的 価値を生み出すことと定義する。このとき、社会的価値とは、企業のステークホルダーにと っての価値である。CSR の考え方と CSV の考え方はともに社会性を生み出そうとするという部 分で共通するが、それが営利性とどういった関係にあるのかという点では異なっている。CSR の場合では、社会性は営利性とは異なる次元にある。それに対して、CSV の場合では社会性と 営利性は同時に追求されるものである。本論文の仮説で採用した社会性の考え方は、CSR より も CSV の考え方に近い。 2.2 コンビニエンスストアと社会との関係に関する研究 続いて、コンビニエンスストアは社会とどのように関わるのかを取り扱った研究を検討し 6 たい。 加藤(2012)は社会をいくつかの側面から見て、コンビニエンスストアが社会とどう関わ ってきたかを考察する。具体的には、東日本大震災、人口減尐社会、尐子高齢社会、ネット 社会、そして、コミュニティの 5 つの側面から社会とコンビニエンスストアとの関係を考察 する。尐子高齢化とコンビニエンスストアの関係については、加藤によれば、高齢化に対応 するためにコンビニエンスストア各社が新しいサービスに力を入れている。例をあげると、 宅配サービス、「セブン・ミールサービス」、「シニアにやさしいローソン」、ローソンの 「新鮮強化型」、ファミリーマートの「おとなコンビニ研究所」などがある。 鷲巣(2008)は、コンビニエンスストアと高齢者を含めた日本人との関わりを考察し、コン ビニエンスストアが持つ機能として「公共空間」があることを指摘する。鷲巣の言う「公共 空間」とは、淋しさを癒す「癒しの場」であり、悩みを解消する「和みの空間」であり、そ して会話を交換できる「団欒の場」といった意味合いを含むものである(鷲巣 2008:106)。 加えて、コンビニエンスストアがこれまで果たしてきた防犯、災害時の支援提供などの機能 は将来にも続く。つまり、コンビニエンスストアを「暮らしのネットワークの拠点」として 利用する方向性が重要であるというのが鷲巣の为張である。 以上のことから、コンビニエンスストアは社会の変化とともに商品・サービスを改革する ことが分かった。その一方で、コンビニエンスストアの利用者から見れば、コンビニエンス ストアが単なる買い物に行ける場だけではなく、それ以外に様々な要求を満たせる社会的な 機能を持った場としても捉えられている。 3 研究方法 本研究では、以下の二つの方法を活用し研究を行う。 3.1 インタビュー調査 本研究では、それぞれ対象の異なる二つの調査を行う。 (1)コンビニエンスストア企業に対するインタビュー調査 ① 調査目的 コンビニエンスストア企業に対する調査の目的は、①コンビニエンスストアが日本社会の 高齢化とコンビニエンスストアとの関係をどのように認識するのか、及び②高齢者向けサー ビスを展開する上で、営利性と社会性の関係をどのように考えるのか、を明らかにすること である。 ② 調査の対象 調査対象は株式会社セブン‐イレブンジャパン(以下、セブン‐イレブン)である。セブ 7 ン‐イレブンを調査対象として選択した理由は、同社では高齢化を 5 つの重点課題の一つと して認識し、高齢者向けサービスの充実に様々な取り組みを行っているためである。詳しく 説明すれば、セブン‐イレブンを展開するセブン&アイホールディングス(以下、セブン& アイ HD)では、2014 年にセブン&アイ HD が取り組むべき5つの重点課題3を特定し、グルー プ全体で取り組みを進めているが、高齢化、人口減尐時代の社会インフラの提供はその 5 つ の重点課題の一つである。 ③ 調査の実施方法 調査は 2020 年 1 月に、職員の A 氏に対して 60 分程度のインタビューを行う形で実施した。 インタビュー調査は7つの質問を为とした、半構造化インタビューである。インタビューの 質問は 4 つの部分に分けられる。一つ目は日本社会の高齢化とコンビニエンスストアとの関 係への認識、二つ目は高齢者向けサービスを展開している経緯や展開するメリット、三つ目 はコンビニエンスストアの経営における「高齢者向けサービス」の位置付け、四つ目は高齢 者向けサービスが抱える課題や今後の見通しである。 ④ 調査結果の分析方法 インタビュー調査の内容は調査対象者の許可を得たうえで録音データとして記録し、それ を文字起こししたものを分析する。具体的には、現地で調査協力者の話を録音し、その録音 データを聞き取り、書き起こして原稿を作成する。作成した原稿は論文の執筆で生かす。 (2)高齢者に対するインタビュー調査 ① 調査目的 高齢者に対する調査の目的は、高齢者がコンビニエンスストアとコンビニエンスストアの 高齢者向けサービスをどのように利用しているのかを考察することである。これを通じて利 用者側の観点からコンビニエンスストアの経営における営利性と社会性を論じる。 ② 調査の対象 調査対象は、東京都 X 市の社会福祉法人 Y が運営する社会福祉施設 Z(以下、社会福祉施設 Z)の利用者である。 ③ 3 調査の実施方法 セブン&アイ HD の5つの重点課題には、①高齢化、人口減尐時代の社会インフラの提供、②商 品や店舗を通じた安全・安心の提供、③商品、原材料、エネルギーのムダのない利用、④社内外 の女性、若者、高齢者の活躍支援、⑤お客様、お取引先を巻き込んだエシカレな社会づくりと資 源の持続可能性向上がある。 セブン‐イレブンウェブサイトより https://www.sej.co.jp/csr/csr/theme.html 15 日閲覧 8 2020 年 2 月 調査は、2020 年 1 月に社会福祉施設 Z の利用者にその場でインタビューへの協力をお願い する形で実施した。調査の協力者は 8 人であり、協力者によって異なるが一人 3 分から 12 分 までの時間で聞き取りを行った。インタビューの質問は 4 つの部分に分けられる。一つ目は 基本属性、二つ目はコンビニエンスストア利用の実態、三つ目はコンビニエンスストアの高 齢者向けサービス利用の実態、四つ目は今後のコンビニエンスストアのありかたについてで ある。 ④ 調査結果の分析方法 調査の協力者の 8 人の中で、4 人から回答の録音の許可を得られた。こうした回答は、セ ブン‐イレブンに対する調査と同様に、文字起こしを行った。残りの協力の 4 人の回答に対 しては、その場でメモを取った。メモを取ったものをエクセルに打ち込み、その結果を分析 した。 3.2 一次・二次資料と関連文献調査 本研究では、研究テーマに関する先行研究や関連文献をまとめ、批判的に検討していく。 具体的には企業経営、コンビニエンスストアに関する文献を検討するのに加えて、高齢化に 関する文献についても参考にしていく。 一次・二次資料については、コンビニエンスストア各社のウェブサイト・CSR データブッ ク・統合報告書等や、コンビニエンスストア業界に関する政府機関や組織の調査報告、学術 的な雑誌論文を収集し、分析する。 4 論文の構成 本論文は 5 章から構成する。 「序論」では、研究背景と研究目的、先行研究、研究方法と本論文の構成について説明し た。 第一章「日本のコンビニエンスストア業界の概観」では、コンビニエンスストア業界の全 体像を示す。具体的には、日本におけるコンビニエンスストアの導入と発展の経緯、商品・ サービスの変遷を概観する。加えて、コンビニエンスストアの社会貢献を考察すると同時に、 日本社会の高齢化とコンビニエンスストア顧客の変化を説明する。第一章では、一次・二次 資料と関連文献の調査を通じて考察する。 第二章「コンビニエンスストアの営利性と社会性の関係についての認識-セブン‐イレブ ンを事例に」では、コンビニエンスストアは営利性と社会性の関係をどのように捉えている のかを考察する。具体的には、セブン‐イレブンを事例としながら日本社会の高齢化とコン 9 ビニエンスストアとの関係についての認識を分析するとともに、同社の高齢者向けサービス の展開の背景にある営利性と社会性の両立についての経営方針を検討する。第二章では、セ ブン‐イレブンに対するインタビュー調査の結果を生かしながら、一次・二次資料と関連文 献の調査を行う。 第三章「高齢者向けサービスの実施現状」では、一次・二次資料と関連文献の調査を通じ て第二章で検討したコンビニエンスストアの営利性と社会性についての考えがどのように実 際に行動に移されるのかを考察する。ここでは、セブン‐イレブン、ファミリーマート、ロ ーソンといったコンビニエンスストア大手三社における移動販売と宅配といった高齢者向け 買い物支援サービスの展開の経緯を述べる。それと同時に、セブン‐イレブンのサービスを 事例として取り上げ、そのシステムについて説明する。さらに、高齢者向けサービスにおけ る営利性と社会性の両立を論じた上で、サービスの展開が抱える課題を明確にする。 「結論」では、第一章、第二章、第三章での考察を踏まえ、本論文のリサーチクエスチョ ンへの回答と仮説の検証を行う。そして、本研究の課題と今後の展望を述べる。 第一章 日本のコンビニエンスストア業界の概観 本章では、日本のコンビニエンスストア業界を概観する。具体的には、コンビニエンスス トアの導入と発展の経緯、商品・サービスの変遷、コンビニエンスストアの社会貢献につい て説明する。また、高齢社会という新たな局面において、コンビニエンスストアの顧客がど のように変化しているのかを考察する。 1.1 コンビニエンスストアの概観 1.1.1 コンビニエンスストア尐史 (1)コンビニエンスストアの定義 本論文の为題であるコンビニエンスストアについてはいくつかの定義が挙げられる。 経済産業省の「商業統計」(2002 年改正)では、次のように定義している。  セルフサービス販売方式を採用している  飲食料品を扱っている  売場面積が 30 平方メートル以上、250 平方メートル未満  営業時間が一日 14 時間以上 一方、中小企業庁の「コンビニエンスストア・マニュアル」(1972 年)によるコンビニエ ンスストアの定義に従えば、コンビニエンスストアとは、以下のような 7 つの条件を満たす 小売店である。  顧客が 5~10 分程度の徒歩で買い物が出来る位置にある  約 300 平方メートルの店舗面積を持っている 10  食品を始めとするセルフサービスのできる生活必需品等を扱っている  営業時間は他の小売店より長く、年中無休営業を原則としている  従業員については 2 交替制およびパートタイマーの採用をしている  組織形態はフランチャイズ・システム4の採用など本部の指導のもとに運営されている  顧客との親密な人間関係をつくるための接客精神と技術がある いずれの定義にも共通しているのは、コンビニエンスストアが日常生活に必要な商品をそ ろえた、その名のとおり、Convenience つまり便利性を提供する小売店である。この便利性に 関しては、木下(2011)は、次の三点を指摘している(木下 2011:13)。  長い営業時間:「いつでも」買える→時間の便利性  住宅地の近く:「近くで」買える→距離の便利性  生活必需品を網羅:「さまざまなものが」買える→品揃えの便利性 木下の取り上げた三つの便利性は、確かに日常のコンビニエンスストアの利用を通じて実 感できるものである。 (2)日本のコンビニエンスストアの起源 本論文の序論で述べたように、日本のコンビニエンスストアはアメリカを手本としてスタ ートしたものである。したがって日本のコンビニエンスストアの起源を考察するには、アメ リカでのコンビニエンスストアの誕生のことから話を始めなければならない。1927 年にダラ スに本社を置くサウスランド・アイス社(Southland Ice Co.)の設立がコンビニエンススト アの原形だと言われている。同社の設立の社会的背景には、自動車の大量生産による自由な 移動と当時の人々の時間節約志向の高まりなどがある。サウスランド・アイス社はもともと 氷を販売していたが、氷を販売する時、ミルクやパンを顧客に手渡すという形式で氷以外の 食料雑貨品の販売も試みていた。コンビニエンスストアのアイデアが生まれたのは次の考え によるものだとされている。それは、コンビニエンスストアが出来れば、①氷小売店の売上 や利益を伸ばせること、②氷小売店の従業員を一年中確保できること、③製氷事業に必要な 多角化を促進できること、そして④会社が顧客に便利さという新しいサービスを与える機会 を生み出せること、という 4 点から、サウスランド・アイス社が大きく発展できるという考 えである(川辺 2003:52)。サウスランド・アイス社の小売事業は順調に成長し、チェーン 店として事業化されていく。店舗の経営者のすべてが朝 7 時から夜 11 時まで開店することに 4 フランチャイズ・システムは、本部(セブン - イレブン・ジャパン等)と加盟店が契約を結び 店舗運営を行う形態である。本部が物流・ 商品開発・広告・経営指導等に責任を負う代わりに、 加盟店は商品発注・接客・従業員採用等を行い、契約に従って本部にロイ ヤリティを支払う。本 部から見れば、直営店より尐ない負担で出店できる(永井 2017:17)。 11 同意しているので、店舗は「セブン‐イレブン」ストアと呼ばれることになった。このこと は 1948 年のサウスランド・アイス社の取締役会で決定された。 日本のコンビニエンスストアの起源については、諸説があるが、最も一般に流布している のは、1974 年のセブン‐イレブン豊洲店を日本のコンビニエンスストアの起源とする説であ る(木下 2011:36)。1971 年当時、小売業界第 17 位であったスーパーマーケットのイトー ヨーカ堂は、4,000 店のセブン‐イレブン店を効率よく経営していたサウスランド社のみが、 確固たるシステムとノウハウを所有していると考え、イトーヨーカ堂は提携先としてサウス ランド社を選択し、サウスランド社に接触を始めた。交渉の結果、イトーヨーカ堂がサウス ランド社とエリア・フランチャイズ契約を結んだ。契約に先立つ 1973 年 11 月 20 日に、コン ビニエンスストア事業の実施のために、イトーヨーカ堂本部ビルの一階に、株式会社ヨーク セブンが資本金 1 億円で設立された(ヨークセブンは、1978 年 1 月セブン‐イレブン・ジャ パンと社名を変更した)。 日本において、イトーヨーカ堂だけコンビニエンスストア事業に進出したわけではない。 それ以前にも、すでにいくつかの企業がコンビニエンスストアを経営していた。コンビニエ ンスストアが最初に登場したのは、1969 年マイショップ・チェーンの大阪府豊中市にオープ ンした第一号店のマミーと言われている。そのほか、1973 年にスーパーマーケットの西友が ファミリーマートを埼玉県内に展開していた。 木下によれば、セブン‐イレブンの形成が日本のコンビニエンスストアの起源と認識され る根拠は、その形成がもたらした影響である。第一に、営業時間の長さである。当時、小売 店の営業時間は 8~9 時間であるのが一般的で、16 時間に及ぶ長時間営業は珍しいものであっ た。セブン‐イレブンの営業モデルのおかげで、「コンビニエンスストアとは時間の便利性 を提供する小売業である」という概念が一般化された。第二の影響は品揃えの豊富さである。 セブン‐イレブン以前にオープンしたマミー、ココストア、セイコーマートは、取扱商品が 偏る傾向にあった。それに対して、セブン‐イレブンは、食料品から日曜雑貨品まで多種多 様な商品を扱っていた。 (3)日本におけるコンビニエンスストアの現状 コンビニエンスストアは、1970 年代に日本において小売業態の一つとしてスタートして発 展を続けている。しかし、運営システムについては、アメリカのシステムはそのままでは使 えない面が多く、日本の実情にあった改変が行われた。こうすることによってコンビニエン スストアが驚くべき成功を遂げた。1980 年代前半には、店舗の増加率、業界全体の売上高と も 20%を超える伸び率に達した。ちょうどバブル期に重なったとはいえ、20%の成長率を五 年間にわたって維持したのは、小売業ではコンビニエンスストアだけである。 12 そしてコンビニエンスストアは、現在に至るまで成長を続けている。ここでは、日本にお けるコンビニエンスストアのここ 10 年の現状を概観する。 小売業界では百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストアが三大業態とされる。 経済産業省の商業動態統計調査によれば、コンビニエンスストアは市場規模ではスーパーマ ーケットに及ばないものの、2014 年に初めて 10 兆円の大台に乗っている。図 1-1 を見ると、 百貨店が約 10 年で市場をわずかに縮小させ、スーパーマーケットはほぼ頭打ちであるのに対 して、コンビニエンスストアは漸増しており、大きな存在感を持つようになってきているこ とが分かる。 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 2010 2011 2012 2013 百貨店 2014 スーパー 2015 2016 2017 2018 年 コンビニ 図 1-1:百貨店・スーパーマーケット・コンビニエンスストアの年間売上高推移(千億円) 出典::経済産業省「商業動態統計調査」より筆者作成 https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/result-2/index.html 2020 年 2 月 20 日閲覧 コンビニエンスストア各社で違いはあると考えられるが、コンビニエンスストア全体とし てみると、売上高、店舗数ともに一貫して増加傾向にある。かつては「コンビニエンススト アの店舗数は 4 万店で飽和する」という説もあったが(加藤 2012:82)、社団法人フランチ ャイズチェーン協会(以下、JFA)が作成したコンビニエンススト統計調査年間集計によれば、 2006 年に、コンビニエンスストア店舗数は初めて4万店を超えた。さらに、図 1-2 から分か るように、2015 年以降は 5 万店以上の状況が続いている。 13 60000 50000 43,372 40000 46,905 44,403 49,323 51,814 53,544 54,501 55,322 14000 55,743 12000 10000 8000 30000 6000 20000 4000 10000 2000 0 0 2010 2011 2012 2013 2014 売上高(右目盤) 2015 2016 2017 2018 年 店舗数(左目盤) 図 1-2:コンビニエンスストアの売上高・店舗数推移(千億円、店舗) 出典:経済産業省「商業動態統計調査」及び JFA「コンビニエンスストア統計調査年間集計」 (2010~2018 年度)より筆者作成 https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/result-2/index.html 2020 年 2 月 20 日閲覧 https://www.jfa-fc.or.jp/particle/320.html 2020 年 2 月 20 日閲覧 コンビニエンスストアの大手各社の売上高に注目すると、もっとも規模が大きいのはセブ ン‐イレブンであり、その次はファミリーマート、ローソンの順になっていることが分かる (図 1-3)。2016 年にはサークルKサンクスとファミリーマートの経営統合の結果、ファミ リーマートが大きく伸びている。また、この大手三社の合計シェアは 2010 年以降 80%を超え ており、業界における独占が続いている。 14
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